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ポイント 経営

伸びる事業に投資をする

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先日、ある事業のリーダーに「このままだと、この事業には投資しなくなるよ」という話をしました。

ここ最近売上が減少しているのですが、リーダーがコスト調整で帳尻を合わせようとしていたからです。

その事業は今後もまだ成長の可能性があると私自身は考えていました。ただし現状の延長線上には答えはないとも思っていました。

しかしリーダー自身がイノベーションを起こさず、縮小均衡を目指すのであれば、もはやその事業に投資する意味はなくなります。

会社でいくつかの事業を行っている場合、「お金」に限らず「人材」といったリソースをどこに投資するべきか?判断しなければならない機会があります。

特に「人材」については限られているので、ここで言う「投資をどこにするか?」という意味には「人材の配置転換」も含まれます。

さすがにリーダーもそこまで言われるものとは考えていなかったでしょう。しかし経営する立場から言うと、至極まっとうなことなんです。

なぜなら投資をする優先順位は「儲かっているか?」ではなく「伸びるか?」という判断基準だからです。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントで言うところの、「花形」や「問題児」に対して投資をするということです。

(今回はこちらから図をお借りしました)

今まで投資をしてきた事業が、これ以上成長を見込めない場合、投資を減らして「金のなる木」として収益貢献してもらう必要があります。

今、この事業がどこにいるのか?

事業責任者はそれを読み間違えてはいけません。

この話をしたあと、リーダーもギアが入れ替わったようです。

「これから成長をしていくんだ!」

という意志を持って前に進むことで、事業展開の可能性は広がります。

またその意志が全社に伝わることでアイデアも社内から豊富に出てきます。

これからの事業展開が楽しみになってきた瞬間でした。

ポイント 働き方 社会 経営

グローバルな視点に立って給料をロジカルに考える

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「給料を考える」シリーズ第2弾。

今回は視点をグッと高くしてロジカルに物事を考えたいと思います。

よく「日本はOECD加盟国中で労働生産性が下位である」という指摘がこのところよくなされます。IT化が遅れているとか、会議が多いとか・・・いろんなことを言う人がいますが、私の見解は少し違います。

「物価と給料の安さが生産性を下げる要因になっている」と考えています。

コロナ以前によく海外に行っていましたが、先進国はとにかく物価が高い!近年行ったところではロンドン、パリ、ハワイ、オークランド(ニュージーランド)などがありますが、物価は日本より高いです。飲食業などを見ると明らか。ニュージーランドで日本食の少し豪華なランチを食べようものなら4000円!

これは表側は物価ですが、裏側は人件費があります。

日本はここ30年で先進国中で物価も人件費も最も低い国に“なり下がって”しまいました。物価を見てみても、給料を見てみても、私が働き始めた27年前のほうが高かったくらいです。

他の先進国はざっくり120%~150%くらいの人件費の高さです。

飲食業で日本でアルバイトとして働くような人で1200円~1300円。ニュージーランドでは1500円。さらに地価も高騰していました。そんな中で商売をやると自ずと価格は高くなります。

1時間で提供するサービスが同じだとして、価格が1.2倍であれば、当然生産性も計算上1.2倍になります。これは効率の良さなど関係なく、単に価格が異なるだけなんです。

現在コロナ禍で壊滅的な打撃を受けているインバウンド需要だって「安いから」来ている外国人も数多くいます。中国の上海などは東京よりも不動産が高い!

さて給料の話に戻します。

日本の大企業は今の時代、グローバルな戦いを強いられています。人材獲得競争も同じくグローバル。外国の企業が提示する給料に負けてしまえば、優秀な人材を獲得することはできません。

今、日本企業が「ジョブ型」などといって給与改定に動いている背景には、このグローバル競争に勝ち抜けるか?という思惑があります。結果としては当然のことながらシニアの給料が下がり、若手の給料が上がります。そして定期昇給は減っていく。。。

しかし、この問題は大企業だけの問題ではありません。

インターゾーンが人材確保を競い合う相手は中小企業ではなく、大企業であったりします。その大企業の賃金が上がるとするならば、インターゾーンもそこに競争力を持たなければなりません。

特にリモートワークが普通になっていく社会においてはより厳しい競争にさらされることでしょう。

よって長期的にインターゾーンも賃金を底上げしていく必要があります。となると、昨日のブログに戻りますが、相当ビジネスモデルを考え直し続けなければなりません。このことをメンバーと共有できるかが賃金上昇に備えられるか?の分かれ目になります。

日本企業で働く人は「給料は会社が勝手に上げてくれるもの」という認識を改めなければなりません。給料がどのように決まっていくべきか?というロジカルなことを理解した上で、グローバルな社会の動きも理解した上で、しっかりと自分の会社・仕事を見つめなおし続ける必要があるということですね。

ポイント 経営

経営サイドに立って給料をロジカルに考える

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【給料】

働く人にとってとても重要な要素でありつつ、なんだかあまり突っ込んだ議論になりにくいテーマです。一般的に日本企業では給料の話はタブー視されがち。

でも巷ではジョブ型への移行であったり、成果主義の話であったり一般論としては活発に議論がなされています。

今回は経営サイドに立って(特に中小企業の場合)、ロジカルに給料というものを考えてみたいと思います。今回は「評価制度」については除外して考えます。

まず1つ目。採用。

会社としてはより多くの入社希望がほしいもの。よって給料がマッチしないために採用できないということはできれば避けたいことではあります。

ある給料を設定してる場合、その給料で欲しい人材を採用できるのか?ということですね。新卒採用だけをしている場合は、新卒ではどの企業もあまり差がないので、気にしていないかもしれません。

インターゾーンのように転職者が多い場合は、ここはやはり大きなポイントになります。人材市場において、あるレベルの人材がどのくらいの給料をもらっていて、また転職する際にどのくらいのことを考えるのか?東京と群馬の格差としてどこまでが容認されるレベルか?などですね。

次に、既存メンバーの継続雇用。

ここは様々な考え方がありますね。最初に書いたジョブ型であったり、成果主義だったり、終身雇用寄りの仕組みだったり。いずれにしても、ここも「勤務し続けてほしい人材」が給料についてどのように考えているのか?をマーケティング的に考える必要があります。

その人が起業したりする場合を除いて、他社に転職するかどうか?が現在の給料の影響があるか?ということですね。ただ注意しなければならないのは退職理由に給料ではないケースのほうが多いということ。実際私が最初に転職した際も全く給料の問題とか関係ありませんでしたから。

そして最後に、上記2点の前提となる「経営が成り立つのか?」という視点です。中小企業の場合はここがとても大きな要素になりますね。インターゾーンのようなベンチャーのケースは特にここが難しい。なぜなら、メンバーが若いため、今後の給与上昇が直接経営にインパクトを与えるからです。

古くからあるいわゆる中小企業は、65歳くらいまでの全年代の人が働いているので、年齢にあわせて昇給しても、一方で定年退職していく人もいるので、給与総額は保たれます。

一方、インターゾーンの場合は年次昇給があるとするならば、勤続年数や年齢が高くなるにつれて会社全体の給与総額は増大します。なぜなら今の時点では平均年齢が31歳で、まだ勤続年数も短く、中高年がほとんどいないからです。今後に対応するには年次昇給に耐えられるだけの利益の確保が必要になります。

例えば50人の会社で賞与が年間で基本給の4ヶ月分ある場合を考えてみましょう。

1万円の基本給を上げるということはどういうことか?

賞与を含めて年間16万円・・・ということにはなりません。

まず残業単価に影響を与えます。

インターゾーンの場合、業務手当がそれにあたります。1万円基本給があがると業務手当も平均1800円あがります。

さらに会社が負担する社会保険料も増加します。これがおよそ1300円。

合計すると月間に13100円の増加です。

さて1人が年間にどれだけ増えるのでしょうか?

13,100円 × 12ヶ月 + 40000円(賞与増額)= 197,200円

これが50人いる場合、986万円になります。

これは経常利益に直接インパクトを与える金額です。この給与上昇を可能にするには当然のことながら、「現在の人員」で売上の増加を実現できることが前提となります。

労働分配率60%の企業であれば、今の人員のまま1650万円の粗利をあげなければなりません。そして粗利率30%の場合、5500万円の売上増加ということです。

これが実現できるか?が経営サイドから見た答えになります。

ただ一般的には個々人の努力だけで売上や粗利が上がるものではありません。結局のところ仕組づくりをどう変えるのか?ビジネスモデルの問題になります。そうなると、給料をあげていけるかどうか?も経営者の仕事ということになる訳ですね。

仕事 経営

一歩引いて見る

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今回、3年ぶりにブログを再開するにあたって、「一歩引いたところから眺める」と初回の記事で投稿しました。

この1ヶ月半、このスタンスで経営をしてきています。最前線は役員である山田君と戸張君に任せ、少し引いたところから眺めています。

従来であれば、ミーティングでもディスカッションの当事者であったのですが、今は大きなミーティングではできる限り聞き役にまわっています。

当然課題を抱えている人の話を聞く機会が多いのですが、さまざま思考をめぐらすことができます。

『今回議論している“現象”について、根本的な“課題”は意外とシンプルだな』

とか

『ここから前に進めるには誰かが“選択肢”を提示する必要があるな』

とか

『その選択肢のポイントは3つの視点から見ているからだと説明がいるな』

などなど、いろいろなことが思い浮かんできます。

当事者であれば、余裕がないので、冷静に課題の把握や意思決定までの選択肢提示をすることは大変です。今回、一歩引いて眺めていることの重要性はこのようなことにあるな~と思っています。

社長として前面に出て決定して進んでいくことは早いのですが、本当の意味での組織力を考えたときには、そうではない経営チーム体制をつくりあげたいと心から思っています。

私が一歩引いたところで得た見解を個別に役員陣に共有することで、彼らのレベルアップを図ることができます。彼らがレベルアップするとリーダー陣のレベルを上げられるようになります。

私自身は話好きだし、本質的な課題発見力には自信もありますが、それをグッと我慢することが将来のインターゾーンにとってより大きな成果を残していくのだと思っています。

ポイント 経営

管理会計を極める

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インターゾーンの管理会計はかなりしっかりと構築されています。部門状況把握、売上推移、経費管理、年度末までの見込み、税額計算・・・あらゆるものを週次以上の頻度で更新しているため、経営状況の把握は的確です。

これは創業以来積み上げてきた経験と社長である私自身がそこにコミットしてきたという経緯によります。

①売上情報(新規、解約、スポット売上、今後の見込み、売上と仕入の一致)

②人件費と労働時間(社員・アルバイト・派遣の個々のメンバー管理、人員増減の実績、見込み管理、チーム別労働時間管理)

③収支状況(①②の情報から売上情報・人件費情報を集約、経費はチーム別に勘定科目のさらなる細目を作って管理、経費申請が上がった段階で見込み計上)

などなど、かなり細かな管理を行っています。

もちろん以前に書いたように会計業務そのものは、かなり自動化が進んでいます。一方管理会計はかなりアナログです。ただこれについてはアナログが悪いとは思っていません。エクセルの更新をしながら、自分の頭の中でこの数値の変化が一体何なのか?を考えることができるというメリットがあります。

一時期、盛和塾で学んだ稲盛さんのアメーバ経営の導入も考えましたが、結局インターゾーンの事業には向いていなかったので、自己流で管理会計の方法を築き上げてきました。

自ら作ったからこそ会計数値からあらゆることが見えてきます。

・収支状況や経費項目から「現場」の状況がわかる。

・売上進捗が今度どのようになっていくのか予測でき、対策が打てる。

・受注から納品までの期間が見える。

・経費について全メンバーが意識を持つことができる。

例えばコロナ禍になってから、当然のことながら旅費交通費は大幅に削減しました。しかしこれは一時的なものでなく、ウェブ商談がメインとなってきたため、アフターコロナでも当たり前になるということが理解できています。

納期のずれ込みについては業務フローの課題が会計からも見えてきます。

クラウドサービス導入はどんどん進んでいくが、本当に必要なものか?効果はどうなのか?などを検証する機会が随時設けられる。(これはSaaS企業であるインターゾーン自身が逆にお客様からそのように見られていることを認識するいい機会でもあります)

メンバーは単にチームKPIを追いかけるのではなく、そのことがどのように収支につながっているのか?普段の業務と経営数値の相関性を常に考えられる状態を作り上げていく必要があります。

従来、私自身の手元で動いていた管理会計は徐々に役員からリーダー陣へと広がりを見せています。最終的には一人一人のメンバーがここにコミットしながら自分の仕事を見つめられる状態までもっていくようにする予定です。